お知らせ

お知らせ >> HOME
第2回産地見学会
2024/11/18   >>体験

 11月14日、大阪伝統工芸品産業振興協議会主催の二回目となる産地見学会を実施いたしました。当協議会の会員のほか近畿経済産業局、大阪府、大阪産業局等からの参加者もあり、総勢18名による見学会となりました。
 見学会では快く対応された株式会社山田念珠堂様、天満切子株式会社・切子工房RAU様、深江菅細工保存会様に感謝申し上げます。

1.株式会社山田念珠堂

 上本町に本社を構える株式会社山田念珠堂は、文久元年(1861)、かざり商人山田常吉が貝細工、木玉類の販売として創業し、明治10年に数珠製造と販売を開始した老舗企業です。合糸・撚糸から珠通し、軸組、房付けまで一環した自社製造による、全製品が日本産となる国内唯一の数珠メーカです。

 数珠には房が取り付けられますが、この房を数珠に装着するための軸は、撚り合わせた糸を四つ組という組紐により、古来から手仕事によりひとつひとつ丁寧に仕上げられていました。
山田念珠堂では、房や軸の製造において自社開発により自動化・機械化を実現し、職人が繊細な手仕事の仕上げに集中できる体制を採用しています。機械製造と手仕事を融合して作業効率化を図り、高品質な数珠の量産を可能にした日本製らしい「ものづくり」企業だと言えます。

 見学会では、はじめに数珠の概要紹介から始まり、作業場に移動して珠通しから軸組、房付けと、一通りの仕上げまでを見学させて頂きました。見事な手さばきで数珠一連を瞬時に仕上げながら、作業工程について丁寧に説明して頂きました。また独自に考案された機械による軸製造の見学は大変貴重な経験でした。続いて、別の作業場で房作りの行程を見学させて頂き、改めてものづくりの奥深さを実感しました。











2.天満切子株式会社・切子工房RAU

 大阪天満宮に「大阪ガラス発祥之地」という碑がありますが、明治以降、この大阪市北区の天満周辺にてガラス工場が多数操業し、盛んに製造されて来た経緯が記されています。西洋のカットガラスの技法を導入した天満切子は、薩摩切子、江戸切子と共に全国的に知られ、優れた工芸品として高く評価されています。

 天満切子株式会社は、1933年創業、1980年代に薩摩切子復刻に携わった後、1998年に屋号を「切子工房RAU」に改め、2000年よりオリジナルブランド「天満切子」の制作・販売を開始します。
V字カットによる鋭く精緻な模様が特徴の江戸切子、薩摩切子とは異なり、天満切子はガラス面にU字カット(かまぼこ彫り)を施すのが特徴で、穏やかな印象を受けます。グラスを上から覗き込むと、グラス底のカット模様が側面に反射して模様を描き出し、水や酒を注ぐ度に万華鏡のように模様が浮き上がります。

 大阪市北区のオフィス街の中に工房があり、手仕事により天満切子は製造されています。ガラスの素材にはクリスタルガラスを用いて、クリアガラスの外側に色ガラスを被せた二重構造の色被せガラスが使われます。
製造工程は、カットに関わるダイヤモンドホイールによる削り、その削りにより磨りガラス状になった箇所を透明で光沢が出るように研磨する磨きの二つの行程に分かれます。
ガラスの削りも磨きも、集中力と根気が必要とされる作業ですが、見学者の質問にも気さくに応じて頂き、本当にありがとうございました。











3.深江菅細工保存会

 深江地域は大阪市東成区の東部で東大阪市に接し、笠を縫うことを生業とした大和笠縫氏が、良質な菅草を求めて古代に移住した地であると伝えられます。万葉集では笠縫島と詠まれたように、平野川と旧大和川に挟まれた湿地帯だったとされています。
江戸時代には、伊勢参宮の際、交通の要衝だったこの地で名物とされた道中笠を買い求める人で賑わい、明治以降も輸出品とされましたが、昭和に入り安価な工業製品に押されて、次第に作業場は減少していきました。
それでも今日まで技術は継承され、伊勢神宮式年遷宮や大嘗祭に深江の菅笠が奉納される等、由緒ある工芸品に数えられます。

 昭和63年に深江菅細工保存会が発足し、菅笠など菅細工を製作する他、地元小学校で菅細工体験学習を行い、更には深江郷土資料館前に菅田を復興、小学生に菅の植え付けや刈り取りを指導するなど、地元の伝統文化普及活動をされています。
菅細工は、夏に生長した菅を刈り取り、天日干しで乾燥させたものを再度水に浸して柔らかくして、水気を取った後に半日ほど蒸すといった手間のかかる準備の後、ようやく菅を編む行程に入ります。

 見学会では、まず菅細工保存会の作業場に集まり、菅細工の行程を一通り説明を受け、続いて場所を移動し、深江地域の中心に位置する深江稲荷神社前の深江郷土資料館にて、伊勢神宮式年遷宮に奉納した御料御笠、大嘗祭に奉納した御笠を拝見しました。
地域に根差した着実な活動をされていますが、保存会の方々も高齢化は避けられず、代を変えて菅細工を継承するにも、課題は少なからずあるかと思います。湿地で育つ菅は撥水性があり、防水透湿性に優れて耐久性もありますが、菅細工の魅力や有用性を広く社会に認知させる事は、これからの課題と言えます。

 大変貴重な経験とお話しを伺う機会となりましたが、最後に参加者全員で記念写真を撮り、2回目見学会は終了いたしました。
















過去のニュース一覧

2024/11/18   第2回産地見学会
2024/11/13   大阪ユニークもん博覧会2024が開催されました
2024/10/28   大阪ユニークもん博覧会2024に出展します
2022/11/7   大阪伝統工芸品産業振興協議会の運営について
2022/11/7   2022総会
2022/1/31   苅田南小学校での製作体験学習事前授業を行いました
2022/1/27   2022年最初の住吉大社初辰詣り
2022/1/18   堺市主催の留学生対象の伝統工芸品製作体験に協力

過去のお知らせ一覧はこちらから
過去のイベント情報一覧はこちらから
過去の体験一覧はこちらから
過去の住吉大社初辰詣り一覧はこちらから

最新ニュースに戻る

エリア別大阪伝統工芸品


ブログカテゴリー

エリア別大阪伝統工芸品


ブログカテゴリー