
奈良時代の遣唐使により持ち帰られた文物の中に、紫檀など貴重な木材から作られたものがあり、
その材を唐木と呼んだ事が「唐木指物」のいわれとされます。その一部は現在でも正倉院に残されます。
江戸時代に入って町人文化が発展すると共に、唐木と呼ばれる紫檀(したん)、黒檀(こくたん)、花梨(かりん)など
東南アジア原産の木材が長崎に持ち込まれ、これを大阪の薬種問屋が引き受けて、飾棚、茶棚を始め座敷机、花台などが大阪で作られました。
唐木は非常に堅く釘やねじが入らないため、指物と呼ばれるほぞをほぞ穴に差し込んで組み合わせる技法で接合され、
仕上げは精製生漆による「拭き込み仕上げ」の後、砥の粉を用いて磨き上げられます。その際の加工は、ほとんど手作業で行われます。
伝統の技や工法を守りながら、今日でも手作業で作られている大阪唐木指物は、
伝統的な棚や机以外にも小物なども生産されています。1977年に経済産業大臣指定の「伝統的工芸品」として認定を受けました。